ビジネスマンとしてのキーワード(営業部門)~その3
前回③新規開拓について、重要キーワードとして挙げたが、もう少し具体的業界を事例を挙げて説明したい。
例えばカメラ
カメラは一昔カメラ屋さんで買うものだった。これはメーカーが販売問屋や、専門販売店に特化して販売していた為で、仮に、電化雑貨としてチラシに並んでいても、販売は専門店のウエートがほぼ90%であった。
それが、カメラの電化が進み電気量販店が扱う様になると、その販売力の差から一気に売り上げを伸ばし、また、大手カメラ量販店が、家電量販店化し、今や、携帯電話と同様にデジカメが置かれ、販売の主力は電気量販店となっている。
これは製品の進化が販売チャネルを変えて行った事によるが、既に、カメラメーカーの競争相手は、スマホに搭載された機能の一つであるデジカメの高画質化により、通信キャリアとなった。
圧倒的な台数と便利さから、写真を撮るツールはスマホに奪われ、拘りのある一部の層のみが従前のカテゴリーで比され販売競争をしている状態である。カメラは今後もよりスマホ化することで、販売量を確保しようとすると思われる。
しかし、30年前に衰退産業と言われたカメラ業界はコンパクト・一眼レフ合わせても300万台程度の市場だったものが、スマホ化することで、その市場はスマホ保有率80%以上になった2019年では、約9,000万台が普及しおり、30倍規模の市場に今後販売展開する可能性を持つ事になる。
市場規模は変化し拡大されたことになる。これはほんの一例であるが、カメラはまだ残っているから良い方で、テープレコーダーやレコードと言った既に姿を消していったものもある。
今後狙う市場は?
話は若干ずれるが、投資家は常に、どのような市場のどの様な特徴を持った企業が今後投資する価値があるかを探している。昔、TVインタビューに応えた著名な企業投資家が、「ローテク、ニッチ、ハイシェア」をキーワードに投資先を探すと言っていたのを思い出す。
つまり、ハイテク企業は山ほどあり、常に競争に晒されていて利益を生む製品・サービスは長続きしない。また、誰もが知っている様な需要の多い市場でも多くの企業が参入し、新規参入も多く、その中で生き抜く企業は極わずかである。
そして、販売シェアで下位の企業は経営が安定せず、常に市場に流されてついて行くしかない。これらの縛りの無い企業を探せば良い訳であるという事だ。
つまり、職人芸的なローテク中心で、誰もが知らない、もしくは参入障壁が高くて容易に参入できない、ニッチな市場で圧倒的な市場占有をしている企業が投資の対象とい訳だ。
1980年代で言えば、ビール業界のキリンが企業シェアで70%近かった。この様な企業は他社との競業が起きにくく、市場の中の追随を許さない、市場を制覇していた優良企業で投資対象となる企業と言うことだ。
余談であるが、85年発売のアサヒスーパードライで、一気にキリンのシェアが下がることになった。
と言う事でところも変われば品も変わるではないが新規開拓は企業が常に追求しなければ生き残れない重要な営業活動である。
④ポジティブシンキング
営業に特化した話ではないが、ルーチンの中で業務行う事務職や、生産性を重視する製造ラインの製造従事職、新しい製品・サービスを開発する技術職では、日々の活動は計画的で、平準化される事が求められ、それが、品質の確保、お客様満足を上げることに繋がる。
しかし、営業では計画通りに販売したり、受注を伸ばすことは決して容易な事では無く、ブラック企業の社員ほどではないが、常に多少の差はあれ、ストレスとジレンマ、忍耐が求められる。
相手が買ってくれるかどうか、契約が取れるかどうか、選んで貰えるかどうか等に神経を使い、変化に対応するのが最前線にいる営業なのである。
一旦ネガティブな発想や、行動をとると、スパイラル的に良くない方向に傾くもので、態度にも明るさが無くなり、言動に勢いや説得力が無くなる。
また、判断に迷いが生じるので、絶好なタイミングを見逃すことになる。つまり、ポジティブな発想・思考・行動を取ることが営業職には必要です。
個人の性格にもよるので、常にと言うより、業務においてはと言う事になるが、これは結構重要である。
なかなか判っていても、気持ちを切り替えてポジティブシンキングを行えるようになるにはトレーニングと経験が必要だと思う。